CSSが無効なため正常に表示されません。CSSを有効にしてください。

HARMAN Owners' Clubハーマンオーナーズクラブ

いい音、ラグジュライフ

好きな音楽をより良い音で聴くことで、日常がラグジュアリーに。
そんな『ラグジュライフ』のヒントや、音楽にこだわりをもった方々、音のプロの声をお届けします。

  1. HOME
  2. いい音、ラグジュライフ
  3. 片山 大朗(ハーマンインターナショナル)

音楽の素晴らしさを多くの人に届けたい片山 大朗(ハーマンインターナショナル)

「音の仕事にどっぷりと浸かりたかった。」そんな思いでハーマンインターナショナルで働く片山大朗さん。今は、JBLのプロダクトオーナーを務めています。大手電機メーカーの技術者だった頃より、音場のコンピューターシミュレーションや音質評価、スピーカー、音声認識、LSI開発からカーオーディオまで、さまざまな「音」に携わってきたプロフェッショナルです。そんな音を仕事にしている片山さんは、どういった音楽体験を重ね、どのような人生を歩んできたのか。「いい音」に対する思いを語っていただきました。

今の仕事の原点は、中学時代に時に奏でた
ギターのハーモニクスかもしれない

子どもの頃から音楽は好きでしたね。ピアノを習っていましたし、中学の時には自分でギターも購入しました。ギターでハーモニクスを奏でるには、弦を軽く押さえてポーンとやるでしょう。すると、倍音が出て、それによって音色も変わる。今考えると、後に仕事にすることになる音響工学の基礎だったのかもしれません。

音楽のなかでもハマったのは、歌。特に男声だけでやるコーラスが好きです。その独特な響きに感情が揺さぶられる。中高生のときには、サイモン&ガーファンクルなどがお気に入りでしたね。大学に入って、なにか音楽をやりたいと思っていたところ、見ず知らずの先輩に無理矢理連れて行かれたのが男声合唱団。90人もいる大所帯でした。

私の担当はベース。一番、低いパートです。歌うのはクラシックの声楽やオペラの曲が中心でした。大学時代は勉強しているよりも歌の練習をしている時間の方が圧倒的に長かった程。かなり本気でやっていたので、それが終わった時の喪失感たるやハンパない感じで、結局、社会人になってから学生時代に合唱で知り合った仲間たちと男声合唱団をつくりました。

以来、演奏会、コンクール、CD制作など、楽しく時々は厳しくやってます。今は転勤で普段の練習にはなかなか参加できなくなったため、遠隔地で予習しておいて本番前に合流させてもらっています。

忙しい日常の中でも音楽を聴く時はそれだけに集中する。

今の音楽鑑賞は、ほとんどが仕事。会社の試聴室にあるJBLのハイエンドモデルである『EVEREST』で、いろいろなジャンルの音楽を聴いています。

プライベートでは、忙しくて音楽をゆっくり聴く時間がなかなか取れません。体質だと思うのですが、音楽が鳴っているとそれに気を取られて他のことが出来ないんです。なので、家でも移動中でも、もちろん車の中でも気に入った曲を短時間に集中して聴くことが多いですね。

よく聴くのはクラシック。数年前から追いかけているアーティストがいます。「ヴァレンティーナ・リシッツア」というウクライナ人の女性のピアニスト。メジャーレーベルではなくて、YouTubeから火が付いたというちょっと変わった経歴です。

テクニックが抜群で、ものすごく速く弾ける。速く弾けるからこそ、余裕をもって曲の微妙なニュアンスを出せるのでしょう。クラシックは基本的にみんな同じ楽譜を使います。重要なのは、楽譜に書いてないところをどう読み取って、自分の表現を入れるか。そこに「味」が出る。うまく言えませんが、私はリシッツアの「味」が好きなのです。とてもレパートリーの幅が広い人で、コアなクラシックファンの中には否定的なかたもいるかもしれませんけどね。

興味深いのは、昨年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者になった「キリル・ペトレンコ」。こちらは正統派。奇をてらった表現ではなく、世界最高のオーケストラと対峙して、ご本人の話によると『音楽の中心点を探している』のだそうです。そんな彼が指揮をするベルリン・フィルの演奏を聴いていると「あぁ、これなんだか正しいなぁ」と思えてくる。この人がやっているこれが、たぶん現在のドイツ音楽の中心だと。

オーディオ機器を作るプロとして、技術を磨き音楽の素晴らしさを届ける使命がある

ハーマンインターナショナルでは、カーオーディオに携わっています。具体的に言えば、トヨタ車に純正で装着するJBLサウンドシステムの製品企画です。

もちろん、車の中では音楽をよく聴きます。良い音で聴くと演奏者が表現したかったニュアンスに感動したり、あぁこんな音が入っていたのかなんていう発見があったりして、移動する時間が楽しくなるんですよね。
一方、機器の作り手としては、運転中の感情のコントロールにも役立っているのではないかと思って。渋滞のイライラから解放されたり、美しい景色をより際立たせたり、ドライブを楽しい想い出にしてくれる。カーオーディオは、そんな重要な役割を持っていると信じています。

学生時代の恩師の言葉
「美しいものは、何の努力もなしに得られはしない」

仕事でのこだわりは、アーティストに対するリスペクト。彼らは、命を削りながら音楽を生み出しています。その音楽を扱わせてもらい再生するにあたっては、我々オーディオ機器メーカーにもそれなりの覚悟が必要です。私が職場で常々言っているのは、「アーティストをリスペクトし、その音楽をリスナーへ届けるのに、オーディオ機器を作るプロとして最高の技術を開発し良い音を出そう」ということ。私たちには、いい音で音楽を届ける使命があります。

では、オーディオ機器の開発に欠かせないことはなにか。それは、「どのようなオーディオ機器でありたいか、どのような価値を提供したいのか、なぜそうなのか」といった理想やゴールを自分で見出し、工夫して実現するスタンスです。

そして、開発は1人でやるわけではないので、「自分はこうしたい」とこだわりを持つ人が何人かいて切磋琢磨することが重要。船頭が多くても上手く行きませんしコミュニケーションスキルも求められます。だからこそ、上手く行った時は面白いですね。実は合唱団における音楽作りと似ています。

これは学生時代の合唱団を指導してくださった恩師の言葉なのですが、かなりのご高齢になられてからも普通では考えられないほど精力的に活動をされていた。その仕事ぶりは、私の仕事に対する価値観に大きな影響を与えています。恩師曰く、「美しいものは、何の努力もなしに得られはしない。その努力には強靭な精神の緊張と持続が要求される。」この言葉はオーディオ機器を扱う仕事に就いたのでなおさら身に染みます。

アーティストが作った音楽の素晴らしさを
できるだけ多くの人に届けたい

人々が感動する音楽には、深く美しい何かがある。それに触れることで感情が潤い、そして生活が豊かになると思うんです。私の仕事のモチベーションの根源には、この深みや美しさを伝えたいという思いがある。アーティストが魂をこめて作った音楽を、元の意図通りに、なるべく多くの人に届けたい。突き詰めると、それがオーディオ機器の役割。リビング、車内、その場所で最もいい音で聴いてもらいたいのです。

いい音で聴くことによって、演奏家のこだわりに気づいたり、「なんだかいいな」と思う瞬間が沢山生まれるはず。それを一言で表すと「感動」なのでしょう。感動は、その時間、その日の生活をラグジュアリーで豊かで幸せなものにしてくれます。そういった瞬間を、多くの人に感じて欲しいですね。