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特集 2015.8.6UP | Artist Interview@試聴室 Vol.12

落語家 林家正蔵 Shozo Hayashiya

ジャズも落語も、
その人の生き様が魅力。

落語家として高座に上がるかたわら、俳優、声優、タレントとしても活躍し、数多くのテレビ番組やドラマ、映画などに出演されている九代林家正蔵さん。大のジャズ好きは有名ですが、ジャズと落語には、意外にも共通する部分があるのだとか。本日はハーマンの試聴室で「落語とジャズ」との面白い関係やレコードにまつわる思い出などについてうかがいました。

Q:まず、音楽との出会いを教えてください。

林家正蔵(以下、S.H):父の林家三平は大変な音楽好きでした。父が好きだったのは、クラシック、それから東京キューバン・ボーイズのようなマンボ、そしてジャズでした。また、うちには父のお弟子さんもたくさんいましてね。みんなが集まると宴会が始まって、「誰か何か歌いなさいよ」となるんです。ですから、音楽はとても身近なものでした。

Q:正蔵さんがジャズが好きになったのはいつ頃ですか。

S.H:中学生の頃です。ちょうど背伸びをしたいような時期に、マイルス・デイヴィスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』を聴いて “ワルかっこいい”ジャズの世界に魅せられてしまいました。それまでの私は中学で吹奏楽に入って、トランペット希望だったんですが、体格的にユーフォニアム回されてしまいました。それでもやっぱりトランペットが好きで。テレビ番組の主題歌でも使われていたニニ・ロッソの美しく輝かしい『夜空のトランペット』の音に憧れていました。あの王子様のような音こそトランペットの音だと思ってたんです。ところがある時、FMラジオでマイルスのトランペットに出会ってしまった。マイルスの音は暗くて、しゃがれていて、それまで知っていたトランペットの音と全然違う。まるで談志師匠の落語を聴いているような、“ワルかっこよさ”。そうなると、もっとジャズを聴いてみたくなって、中古レコード屋を巡るようになるんです。
あの〜「餌箱つつき」ってご存じですか。レコード屋さんの箱からレコードを一枚ずつ探すことなんですが、その仕草が、まるで鳥が餌箱をつついているように見えるんです。しかもつつくときにコトコト音をさせちゃうのはレベルが低いヤツ。レコードを傷付けないように、音を出さずにつつくのがレコード通の極意なんです。そうやって餌箱をつついてレコードを買い集めました。

Q:“ 餌箱つつき”で出会った、思い出深いレコードはありますか。

S.H:ボビー・ハケットの『コースト・コンサート』です。古今亭志ん朝師匠が、ジャズがお好きでしてね。上野の仲町通りにイトウっていうジャズ喫茶があったんですが、私がまだ二つ目の頃、イトウに行くと「今さっき志ん朝師匠が帰っていったよ」「へー、そうですか。何をお聴きになってました?」「リー・モーガンの『トム・キャット』だよ」なんてね。リー・モーガンでも『トム・キャット』っていうのは、ちょっと渋めですよ。「やっぱり矢来町のお師匠さん(古今亭志ん朝)は違うなぁ」なんて恐れ入っていました。

そんなある日ね、その志ん朝師匠から「こぶ平、なんとか手に入れてくれないか」ってレコード探しを頼まれたんです。それがボビー・ハケットの『コースト・コンサート』でした。なんでも人に貸したら戻ってこなかったのだとか。それで「よしきた!」って。レコード探しで憧れの志ん朝師匠のお役に立てるならって、とにかく餌箱をつつき回しました。そして、新宿の八月社という中古レコード屋でやっとこさ見つけて志ん朝師匠に渡したら「ご飯でも食べようよ」って、フランス料理をご馳走していただきました。そこで「こぶ平、このレコード、いい装置で聴きたいんだ」っておっしゃるんで、合羽橋の裏にあるSOMETHIN’っていうバーにご案内しました。そこのバーテンダーさんも大の落語好き。志ん朝師匠が店に着いたとたんクローズの看板出しちゃって、店は貸し切り状態。志ん朝師匠と私とバーテンダーさんの3人だけで、ボビー・ハケットを聴いたわけですが、いい音でした。そのスピーカーがJBLでした。いい思い出です。

ときどき一人で、ジャズを浴びるように聴きたくなるんです。

Q:普段はどんな環境で音楽を聴いていらっしゃいますか。

S.H:自宅のオーディオルームで、一人きりで音を浴びるように聴いてます。私の家のオーディオルームは上野にあったジャズ喫茶イトウと、飯田橋にあった佳作座っていう名画座の音の再現、っていうのがこだわりなんです。どちらも大好きな場所だったのですが、バブル期前に両方とも無くなってしまいました。ちょうどその頃、たまたま自宅の建て替えの話があって、当時2階にあった僕の部屋には、すでに床が抜けそうなくらいレコードがありましたから「このままだと床が抜けちゃう」って言ってお願いして、地下にオーディオルームを作ってもらいました。イトウのゴリゴリっとした音が好きだった私は、迷わずイトウと同じ、JBLを入れました。今使っているのはJBLのK2。ちょっと型が古いやつですが、大事に使っています。オーディオルームの壁面は全部ラックにして、CDとレコードを収納できるようにしたんですが、知り合いに保管しておいてくれと頼まれたり、ジャズ喫茶のフラミンゴから譲り受けたりしているうちに、レコードは、とうとう2万枚を超えてしまいました。ただ、こういう経緯なので重なりも多くてソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』なんかたぶん10枚ぐらいあると思いますけど(笑)。

Q:アナログ盤やCDを、その日の気分で聴くわけですね。

S.H:そうですね。日頃落語を覚えたり、原稿を書いたりで、なかなかまとまった時間が取れないんですが、たまに一人きりで音楽を浴びたくなります。何も考えずに繭にこもるみたいにね。そういうときには、なぜかドラムものがいいんですよ。最近はジェフ・ティン・ワッツ、それからアントニオ・サンチェス、それからビル・スチュワートがかっこいい。それにドナルド・エドワーズも大好きです。彼らのドラムのパンチを浴びて、軽いパンチドランカーのようになると、スッキリしてまた元気が出てくるんです。

唐桟の縞物をお召しになった志ん朝師匠が、目に浮かぶようです。

アレックス・メルカード/SYMBIOSIS(シンバイオシス)

Q:ここのオーディオシステムの音をご試聴ください。きょうはCDをお持ちいただいたそうですね。

S.H:メキシコのアレックス・マルセーロというピアニストの演奏なんですけど、アントニオ・サンチェスのドラムと、スコット・リーのベースが入っいます。『SYMBIOSIS(シンバイオシス)』というタイトルのアルバムです。このオーディオシステムがどんな音で再生してくれるか、非常に楽しみです。

Q:(試聴が終って)いかがでしたか。

S.H:うーん、凄いですね。アントニオ・サンチェスが、ピアノトリオで叩いている時の、絶妙なさじ加減が、よく分かりますね。パット・メセリーのグループで叩いているときのアントニオ・サンチェスのドラムとは、またひと味違う。手はものすごく動いているのは分かるし、音もガツンガツンと来るんですが、叩きながらピアノの音をよく聴いているという感じがします。うちのオーディオルームじゃ、このさじ加減、ここまで出てこなかったなぁ。

古今亭志ん朝1/「朝日名人会」ライヴシリーズ 1「お見立て」「火焔太鼓」

Q:このコーナー初ですが、落語ものを聴いていただけませんでしょうか。さきほどお話がでた志ん朝師匠の落語です。

S.H:こんな高級なオーディオシステムで噺を聴くのは初めてですね。どんなふうに聞こえるんだろう。

Q:(試聴が終わって)いかがでしたか。

S.H:いいオーディオで聴くといろんなことがわかりますね。まずこの日は、晴れていたことがわかります。締太鼓の皮の音が、乾いているでしょう? それにしても久しぶりに志ん朝師匠の噺を、客席で聴かせていただきました。落語家になってからは、同業者の噺を、ましてや大先輩、大師匠の噺を正面に回って客席で聴くなんてことはありませんからね。楽しむというよりは、背筋が伸びて緊張いたしました。これは志ん朝師匠が60代の頃でしょうか。30代、40代のテンポよりもゆっくりおしゃべりになられています。すごいもんですなぁ。なんだか体調までも分かるような気がします。この日の師匠は、きっと朝ご飯も昼ご飯も召し上がっていて、夕べのお酒も残っていない、いい体調ですね。演目が『富久』や『芝浜』なら、きっと唐桟の縞物をお召しになっていたに違いないって、着物の柄まで目に浮かぶようです。もし70代のお師匠さんが生きていらっしゃったら、どんな噺をしたんだろうってことまで想像できるような、いい体験をさせていただきました。ありがとうございました。

CDやDVDで自分の噺を残せるよう、一層稽古に励みたい。

Q:中学生から、今なお聴き続けているジャズの魅力は、どこにあるのでしょうか。

S.H:ジャズの魅力ってね、実は落語にも通じるところがあるんです。偉そうなことを言うようですが、どちらも人間の「生き様」が魅力。志ん朝師匠にしても、うちのおやじにしても、系統は違うんだけど、カッコいいんですよ、生き様が。落語の古典と同じようにジャズにもスタンダードがあってたとえば『枯葉』という曲を吹いたとき、マイルス・デイヴィス、ブルー・ミッチェル、ウイントン・マルサリス、では全然違うんです。メロディもコード進行も同じなのに、解釈によってはは全くの別物になってしまいます。古典落語も起承転結は同じなのに、誰が演るかによって面白さが全く変わってきます。よく似ているでしょ? それだからでしょうか、落語が好きなジャズミュージシャンも多いですし、ジャズが好きな落語家さんも多いです。そして、その両方が好きなジャズ喫茶のマスターも多いんです。きっと、魅力に共通するものを感じていらっしゃるんでしょうね。

Q:最後にファンの方々へ、今後の予定や夢などありましたら、ぜひ教えてください。

S.H:多くの落語家さんは、自分の噺をCDやDVDでお出しになっているんですが、私はまだ、一枚も出していないんですよ。出さないかというお話はたくさんいただいたんですが、まだまだ残せるような芸は披露できないと、断り続けていました。今日は思いがけず志ん朝師匠の噺を聴くことができて、まだ入門前の中学生の頃、いつも客席で師匠の噺を聴いていたときの「初心」に立ち返ることができました。これを機に、また一層稽古を積んで、自分もCDやDVDを出せるように頑張りたいと思います。いい機会を与えてくださって、ありがとうございました。

林家 正蔵 Profile

1962年、落語家である初代林家三平の長男として東京に生れる。1978年、こぶ平の芸名で父・三平に弟子入り。1988年には古今亭志ん朝以来の最年少で真打ちに昇進する。2005年、九代林家正蔵を襲名。同年より城西国際大学人文学部(現:国際人文学部国際文化学科)の客員教授として教鞭も振るう。落語家として高座に上がるかたわら、テレビのバラエティ番組やドラマにも数多く出演し、タレント、俳優、声優として活躍。2016年公開予定の山田洋次監督作品「家族はつらいよ」にも出演する。

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締切:2015年8月17日(月)正午(AM 12:00)
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次回予告 次回の“Artist Interview@試聴室”は清水ミチコさんにご登場いただきます。ご期待ください。

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