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特集 2015.5.1UP | Artist Interview@試聴室 Vol.9

作曲家 千住明 Akira Senju

柔らかくて、ナチュラルで、余裕を感じさせる音です。

本日JBLの試聴室にお招きしたのは、多彩なジャンルで活躍する作曲家・千住明さんです。数多くの映画やテレビドラマ、CMなどを手がけ、日本アカデミー賞優秀音楽賞など受賞多数。ジャンルを超えてさまざまなアーティストの編曲やプロデュースを行うなど、まさに八面六臂のご活躍です。そんな千住さんに、オーディオにまつわる思い出や、ご自身が制作にかかわった音楽を試聴していただいた感想、そして今後の音楽活動についておうかがいしました。

Q:オーディオに興味を持ったのはいつ頃ですか。

千住明(以下、A.S):中学生になった頃、初めてクラシック以外の音楽を聴いたんです。それがジャズでした。家では妹(千住真理子)がバイオリンの練習をしていましたから、あまり大きな音量で音楽がかけられませんでした。それで渋谷や自由が丘などのジャズ喫茶に通うようになり、大きなスピーカーから大音量で流れるジャズをよく聴いていました。学ラン姿でジャズ喫茶に行ましたが、大人たちは静かに聴いているぶんにはウェルカムしてくれました。当時は都内にジャズ喫茶がたくさんあって、いろんなジャズ喫茶に行きましたが、音は店によってかなり違いました。それも面白かったですね。たとえば自由が丘のジャズ喫茶はフリージャズをメインにかける店でしたが、めちゃくちゃ硬い音で、僕はそれが結構好きでした。そんなことからやがてオーディオに興味を持つようになり、秋葉原のオーディオコーナーに通ったり、オーディオ雑誌を読み漁ったりするようになりました。

Q:その頃聴いていたのは、どんな音楽ですか。

A.S:僕が初めて買ったレコードはCTIというレーベルから出ていたボビー・ハンフリーという女性フルーティストのアルバムでした。その頃のCTIにはハービー・メイソンなど後にジェントル・ソウツを結成するような凄い面々がまだ駆け出しのミュージシャンとしていたりして、とても面白いレーベルでした。それからよく聴いていたのは、マイルス・デイヴィスです。彼が16ビートを採り入れた歴史的なアルバム『ビッチェズ・ブリュー』が好きでしたし、そのすぐ後に出た『オン・ザ・コーナー』もすごくカッコ良かった。それと当時好きだったもので今の仕事につながっているのが、ジャズの中でもいわゆる「オーケストラもの」と言われるもの。たとえばマイルス・デイヴィスとギル・エヴァンス・オーケストラの『スケッチ・オブ・スペイン』などはかなり聴きました。

Q:その頃、オーディオはどんなものをお使いでしたか。

A.S:中学生ですから、お小遣いの範囲で買える程度のものでした。秋葉原に通って、オーディオ雑誌で「値段の割に音が良い」と書かれたものを選んで、一つずつ自分で買い揃えました。スピーカーは雑誌の自作の記事を読みながらフルレンジのスピーカーを自分で組んだんですよ! その頃の僕にとって、JBLは本当に憧れでした。
やがて大学生になってアルバイトをするようになると、真っ先にJBLの4311Bという白いスピーカーを買いました。でもスピーカーに見合うアンプが買えなかった(笑)。当時僕はすでに自宅録音を始めていましたので、カセット4トラックのMTRやオープンリールの16トラックのデッキ、それにDATを買ったりして、なかなかオーディオのアンプにまでお金が回りませんでした。

Q:今はどんなオーディオシステムをお使いですか。

千住明(以下、A.S):ちょうど10年くらい前かな、このままでは4311Bが可哀想だなと思って、マークレビンソンのパワーアンプを買いました。そして4311Bをもう一度しっかりエイジングし直して鳴らしてみたんです。そうしたら実に素晴らしい音がするんですよ。特にアナログレコードがいいですね。もちろんプロになってからは仕事として使うための、きちんとしたシステムは持っていました。でもそういったシステムはいわゆる「モニター」です。非常に高精度でまんべんなく音を再生します。へんな話、聴きたくない音も再生するんです。ま、そういったアラ探しをするのがモニターの仕事ですから仕方がないんですが…。でもJBLの4311Bの音はそれとは全く違います。とてもふくよかで、芯もあって、熟成されています。大学時代に買ってから40年を経て、今まさに「オールド・ヴィンテージ」という感じの音がしています。ジャズやクラシックもいいですが、4311Bで聴く80年代のポップスやソウルは、とてもいいんですよ。たとえば「アース・ウィンド・アンド・ファイアー」なんかを聴くと、すごくいい。それと「カーペンターズ」が素晴らしいんですよ!今でも全然古さを感じさせません。

奏者の温度まで伝わるような生々しさがありながら、音楽制作者の意図もしっかり伝わってきます。

メインテーマ/千住明

Japanese Songs/千住真理子

Q:それでは、現在のJBLのスピーカーの最高峰モデルであるProject EVEREST DD67000とマークレビンソンのアンプとプレイヤーでご試聴いただきたいと思います。千住さんの最新アルバム『メインテーマ』をご用意しましたが、どの曲にしましょうか。

A.S:では新しいところで3曲めの『流星ワゴン』をお願いします。

Q:(試聴が終って)いかがでしたか。

A.S:すごく柔らかいですね。優しくてナチュラルだし、音に余裕があります。スピードが出るクルマでゆっくり走っているようなゆとりを感じます。JBLのスピーカーって、僕はもっと「派手めな音」というイメージを持っていました。ボトムがガンガン来て、ジャズやロック向きという。でも、このシステムの音はクラシック音楽のモニターとしてもそのまま通用する音だと思います。音量を小さくしてもバランスが崩れませんし、大きくしても決してうるさくない。実に素晴らしいですね。少人数のものも聴いてみたいですね。真理子のアルバムでピアノとバイオリンだけの曲を聴きましょう。『夕焼け小焼け』をお願いします。

Q:(試聴が終って)音の印象はいかがですか?

A.S:なるほど……。ピアノとバイオリンだけのシンプルな構成なので、このオーディオシステムのキャラクターがよくわかります。言葉にするのが非常に難しいのですが「奏者の温度まで伝わるような生々しさ」が感じられました。ピアノの音は、まるでピアノの中に頭を突っ込んでいるように間近に聞こえます。これはマイクが聴いている音です。でも、これってよくオーディオのカタログで言う「原音再生」ではありません。僕たち音楽制作者がCDを録音するときは、原音は目指していません。むしろ完全に音を作り込んでいます。このCDをこのシステムで聴くと、制作者や録音エンジニアが作り込んだ音が、そのまま意図どおり、録音したとおり再生されます。ああ、エンジニアは、これを狙っていんたんだな、ここまでやってくれていたんだなということがよくわかります。次はドラムの曲が聴きたいですね。

ペインテッド・フロム・メモリー/エルビス・コステロ&バート・バカラック

Q:エルビス・コステロ&バート・バカラックの「ペインテッド・フロム・メモリー」を持ってきました。

A.S:いいですね。大好きです。ぜひ聴きましょう。では一曲目の「イン・ザ・ダーケスト・プレイス」をお願いします。

Q:(試聴が終って)いかがでしたか?

A.S:非常に芯がある音ですね。ドラムが入った曲もクラシックと同じ印象です。ちょっと驚いたんですが、家庭用のオーディオシステムは普通、低音を強調するラウドネスが効かせてあったりと、多少なりとも「味付け」されているんですね。料理でいえば調味料や添加物のようなものが少しは入っているものなんです。でもこのシステムの音にはそういう余計な部分が一切ありません。人工的な要素をすべて取りのぞいた、録音した素材そのままの音が聞こえます。そして一つ一つの音がはっきりと明瞭なので、 音像が立体的に聞こえてきます。定位などのエンジニアの意図も明確にわかりますね。非常にいい音だと思いますし、モニターで十分に使える音です。正直言ってJBLの音のイメージが少し変わりました。

クオリティーを突き詰めた”原画”のような音楽を届けたい。

Q:作曲家として活動されて30周年を迎えられましたが、今後どのような活動をしていこうと思いますか。

A.S:あっという間の30年でした。でも実のところ、僕はもともと今のようにマルチに活動するつもりはありませんでした。アルバムアーティストになりたかったのです。ですから映像のための音楽の作曲や編曲など人のオーダーに応えるプロフェッショナルな裏方仕事を「修行」だと思ってやってきました。そしてやっと「修行」も一区切りついたと思っています。今後も裏方の仕事は続けますが、これからはCDを1年にきちっと1枚出す、あるいは自分のオペラ作品を出して、それでツアーを回るような、アルバムアーティストの世界に戻りたいですね。今日いい機会だったと思うのは、こうやっていい音でCDを聴かせていただいて、アルバムの大切さを思い出したんですよ。本当にいい曲を、本当にいい音で聴いてもらえるようなアルバム作品を、自分のブランドとして作りたいと考えています。

Q:ご自身のブランドとして作る音楽とは、どういった音楽でしょうか。

A.S:多分「大人の音楽」になると思います。これまで僕がマジョリティーに向けて作ってきた音楽、たとえばこの『メインテーマ』に収録されたような曲は、それこそ何百万人という人が聴くものです。ですから音楽ファン以外の人々にアピールするという「マジョリティー性」が常に要求されてきました。それは例えるなら大勢の人が美味しいと感じる、口当たりの良いテーブルワインです。それを作るためには非常に高い技術が必要です。でもその技術を持った上で、僕たちは別の一面では、本当にわかる人だけが味わう高級ワインのような、質の高い音楽を目指しても良いのではないかと思うんです。例えば音質にとことんこだわって、1万円するCDがあってもいいかもしれないですよね。でもこういったことって、まだ誰もやっていないんですよ。だからぜひやってみたいと思っています。
近頃は音楽のデータ配信が本格化してきて、音楽が非常にインスタントなものになりました。でも、僕はジャケットも含めたパッケージで、一つの作品として音楽を聴き手に届けたいんです。それは絵で言えば「原画」です。配信された音楽は「版画」のようなものです。スマホに音源を入れて手軽に持ち歩いて聴くことも、もちろんいいことだと思います。でも僕はクオリティーを突き詰めた原画のような音楽を届けたい。その方向性での制作活動はすでに始動しています。さっきちょっと話しましたが、昔はCTIやECMなど、さまざまなレーベルが音楽的な個性を持っていて、才能ある音楽家たちがそのレーベルに集まっていましたよね。最終的な夢としては、僕もそういったレーベルを作りたいと思っています。

Q:この試聴室は、ご予約いただければ、どなたでも1時間、自分が好きなCDを聴くことができます。最後にこの試聴室に来る方へメッセージをお願いします。

A.S:ここのオーディオシステムは性能にゆとりがあるので、普段聴けないような大音量で聴くことができますし、大きな音でも耳が痛くなりません。スピーカーが近いので、まるで音の布団に包まれているような感覚、あるいは「音の繭」にくるまれているような感覚が体験できます。ぜひ、聴き慣れたCDをお持ちいただいて聴き比べてみてください。非常に豊かな音で、違う世界を見せてくれると思います。

千住 明 Profile

1960年10月21日東京生まれ。慶応義塾大学工学部を経て、東京藝術大学作曲科卒業後、同大学院を首席で修了。藝大在学中より、ポップスから純音楽までさまざまなジャンルで、作曲家・編曲家としてグローバルに活躍しながら、数多くのアーティストの音楽プロデューサーとしても活躍する。映像とリンクした楽曲で、映画やドラマ、CM作品などの世界観を表現し、2015年2月に、TBSテレビの日曜劇場『流星ワゴン』のメインテーマも収録した最新アルバム『メインテーマ』を発売。4月より放送開始のTBS金曜ドラマ『アルジャーノンに花束を』の音楽も担当する。

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次回予告 次回の“Artist Interview@試聴室”は音楽家の宮本文昭さんにご登場いただきます。ご期待ください。

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