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クルマのハーマン | カー・オーディオ Part 2

私たちが提供しているのは 「音楽を聴く体験」そのものです。

Hi-Fiオーディオのハイエンドブランドであるマークレビンソン、そしてスピーカーの名門JBL、ハーマンカードン。これらハーマンインターナショナルが擁するオーディオブランドが、実はカーオーディオとして多くのクルマに採用されていることはご存じでしょうか。「クルマのハーマン」「クルマのハーマン」第2回は、カーオーディオのエンジニア辻多久也と中島崇量の、カーオーディオにかける思い、ハーマンインターナショナルのカーオーディオが目指すものなどについて対談形式でお話します。

ハーマンインターナショナル株式会社 アクースティック システム プリンシパル エンジニア 辻 多久也

ハーマンインターナショナル株式会社
アクースティック システム
プリンシパル エンジニア
辻 多久也

ハーマンインターナショナル株式会社 アクースティック システム シニア エンジニア 中島 崇量

ハーマンインターナショナル株式会社
アクースティック システム
シニア エンジニア
中島 崇量

Q:まず最初に、中島さんがこの仕事を始めたきっかけを教えてください。

中島:私は実はハーマンインターナショナルに来てまだ1年ぐらいです。それまでは14年ほど自動車会社でオーディオ関連の開発をしていました。

辻:中島はカーメーカーにいたのですが、ずっとカーオーディオに携わっていたい、ということで、あえてサプライヤーの立場に身を転じたわけです。相当な勇気だと思います。

Q:カーメーカーにいるとオーディオだけやる、というわけにはいかなくなるからですか。

中島:そうですね。どんどん担当範囲は広くなり、オーディオの部分は薄くなっていくのが見えていましたから。それからオーディオに関しても自分で作るわけではなくて、サプライヤーに「こういう音を作りたい」と伝えて作ってもらう仕事だったのですが、やはり自分が目指す音は自分で作らないと、そこにたどり着けないような気がしました。

Q:辻さんはどうしてこの仕事を始めたのでしょうか。

辻:私は以前別のオーディオメーカーに勤めていて、やはり車用のスピーカーの設計開発をやっていました。しかしそれは世の中に名前が出ることがないノンブランドのものでしたので、カーオーディオとしてブランドオーディオを入れていたハーマンは憧れでした。ハーマンが持っているオーディオブラントは、この業界では世界で名が知れているブランドばかりです。私が若い頃、JBLのスビーカーは高級オーディオの代名詞でしたし、マークレビンソンなどは手が届かない存在でした。そのブランドのエンジニアとして開発に関われるということは、非常に光栄なことだと思っています。

レクサスCT200hの後部座席側にレイアウトされたマークレビンソンのスピーカー

レクサスCT200hの後部座席側にレイアウトされたマークレビンソンの
スピーカー

Q:ハーマンインターナショナルに入ってみて、どんなところがいままでと違うと感じましたか。

辻:まず入って驚いたことは技術力の高さです。私はスピーカーを設計していましたのでよくわかりますが、一般的なカーオーディオとはまったく一線を画しています。設計の細部へのこだわりから、使っているパーツの一つ一つを取っても、全然クオリティが違います。今は、実際にそれらのアンプやスピーカーを使って、クルマごとの音作りをしているわけですが、アンプに入っているDSP※ひとつとっても群を抜いて細かいところまで緻密に作り込むことができます。オーディオには「音の定位」「広がり」「包まれ感」さらには「奥行き」など、「良い音」を表現するさまざまな要素がありますが、ハーマンインターナショナルのカーオーディオは、おそらく他のどのブランドオーディオよりも、細かいところまでカバーしていると、私は思います。

※DSP=デジタルシグナルプロセッサー。音質補正のイコライザー、位相調整のフェイズ、距離補正のディレイなどの機能により、クルマの聴取環境で最も快適な音質を作り込むことができる。

マークレビンソンの車載用スピーカー

マークレビンソンの車載用スピーカー

中島:私は一年前までクルマメーカーにいたのですが、当時から、一般のカーオーディオと比較すると、ハーマンは、ユニット一つ一つがしっかり作ってあると思っていました。ただ、このあたりはハーマンが妥協しなかった、というだけでは実現できません。たとえばレクサスに搭載されているマークレビンソンに関して言えば、「マークレビンソンの音をしっかり再現させたい」という、関係者の強い思いを感じます。クルマのメーカーからすれば、カーステレオに割くスペースはできれば減らしたいわけですから、「いい音を聴かせたい」という志の強さの表れではないでしょうか。

辻:レクサスでは、最近「おもてなし」という言葉がよく使われています。つまり乗られるお客さまを、クルマがもてなす、ということですね。その機能の一つとしてオーディオは大きな役割を果たしている、という認識を持っていただいています。ですから、マークレビンソンは、レクサスのクオリティや、イメージというものを支え、より高めるオーディオでなければならないのです。

ブランドの価値をクルマの中でも提供する

Q:クルマの中で聴く音楽は、家で聴く音楽とは違う気がします。

辻:ご家庭で音を聴くときは、CDでも、レコードでも、わざわざ聴くわけですから「さあ、今から音を聴くぞ」という心構えがありますよね。でもクルマの場合は「さあ音楽を聴くぞ」と思ってクルマに乗られる方は、あまりいないのではないでしょうか。クルマに乗るときには目的地があり、そこに行くために乗るわけです。つまり、音楽はそのお供、ということがほとんどだと思います。ただそのときに聞こえる音楽が「クルマの中だから、しかたない」というオーディオは、提供したくないのです。特にブランドオーディオであるハーマンカードン、JBL、マークレビンソンは、それぞれホームオーディオで培ったブランドの音、イメージ、そして価値があります。

実際にオーディオを車載して測定する部屋での辻、中島の作業デスク

実際にオーディオを車載して測定する部屋での辻、中島の作業デスク

その音をクルマの中でも同じように提供することは、我々にとって非常に大切な責任だと思っています。自宅のJBLと比べて、クルマのJBLの音はこんなものかと言われるのは、一番残念なことですし、そういう事がないように、ハーマンカードン、JBL、マークレビンソン各ブランドのスピリッツを、カーオーディオでしっかりと引き出すこと。それこそが肝要だと思っています。家のステレオと同じようにクルマの中でもいい音で音楽が楽しめることこそが、ブランドオーディオにお客様が期待する価値ではないでしょうか。

音の細部を再現し、アーティストのメッセージを伝えたい

Q:前回のお話で、カーオーディオは空間そのものを作るものだということがよくわかりました。一方のホームオーディオは、スピーカーとアンプとプレイヤーを提供するだけで、セッティングはユーザー次第です。いわばホームオーディオは料理だけ、カーオーディオの場合はシェフが盛りつけた「皿に盛った料理」であり「さあ、召し上がれ」というところまでのプレゼンテーションという気がします。

中島:そうですね。カーオーディオではお客さまはスピーカーの位置や角度などを基本的にはいじることできません。ただCDを選んで聴くだけです。ですから、空間を含めたセッティングがすべて我々が仕立てあげ、そこでどれだけいい音を作れるかが仕事ですし、そこまでできることが、カーステレオを作る醍醐味かもしれません。私たちが提供しているのは、ある意味でオーディオ製品というワクを超え「音楽を聴くという体験」そのものなのだと思います。

Q:カーオーディオで作りたい音はどんな音ですか?

辻:たとえばマークレビンソンであれば「原音に忠実」というのがコンセプトです。ただ「原音忠実」、つまりアーティストが伝えたいことを伝えることがゴールだとすると、そこにあるのは何か。それはアーティストのメッセージなのです。どんなメッセージかはアーティストによって違いますが、結局は、何かしらを訴えたい。その訴えたいことが余すところなく伝えられ、リスナーがその音に感動できるかどうか。本当にエモーショナルな音かどうか。これは恐らく音質などのクオリティーを超えたところですが、それを目指していきたいと思っています。

中島:私は「あらゆる信号をちゃんと音にできる」ということを大切にしたいと思います。本当に繊細な音まで、小さい音まで、逃すことなく全部音にして出す。アーティスト側のこだわりがその小さな部分まで詰まっていますし、それを伝えることがお客さまの喜びにつながっていくと思っています。お客さまもそういう点を期待していると思いますし、その方向でしっかり、常に「今」を超えていける新しいものを作っていきたいと思っています。

常に一歩先を見つめるリーダーでありたい

開発中のクルマに試験的に搭載されたJBLのスピーカー。テストを重ねミリ単位の調整が行われる。

開発中のクルマに試験的に搭載されたJBLのスピーカー。テストを重ねミリ単位の調整が行われる。

Q:最近はCDを超える音質のハイレゾが話題ですし、サラウンドのフォーマットもますます進化しています。今後カーオーディオは、どんな方向に進んでいくのでしょうか。

辻:オーディオの世界が今後本当にハイレゾにシフトするのかは、正直言ってまだわかりません。ただハイレゾに対応することは、音質を向上させることにつながりますから、他のカーオーディオメーカーとの差別化になると思っています。またサラウンドについても、ドルビーアトモスのように天井から音を出すフォーマットが出てきていますので、それらに対応することも必然的なことだと思います。オーディオの世界の動向を敏感に感じながら、常に一歩先を見つめて対応する。そうしたことを積み重ねることでマーケットのリーダーとしての役割をキープし続けられるのではないでしょうか。

中島:本当にいい体験を一回すれば、忘れられません。私たちはクルマでいろいろなところへ出かけてカーオーディオのデモンストレーションをするのですが、実際に聞いていただければ、みなさんわかっていただけます。たいていは「すごいですね」と驚いてくださいます。

Q:最後に今後、カーオーディオで目指したいことを教えてください。

辻:私の場合は、マークレビンソン、JBL、ハーマンカードンというハーマンインターナショナルが有するブランドの音に憧れて、ここのエンジニアとしてやっていますから、その魅力をお客さまにこの魅力を伝えていくこと、そしてそのクオリティーを守るように努力したいと思っています。

中島:私はもともと、自分で演奏することが好きで、キーボードやギター、そのほかの楽器もやります。作曲もしていますので、オーディオ機器を作るときも、演奏者の思いが忠実に再現されるようなものを作りたいです。カーオーディオという枠を越えて、アーティストの目指したものを100%お客さまの目の前に再現させるという夢があります。

Q:そうとう壮大な夢ですね。

中島:そうなんです。果てしない挑戦です。

ありがとうございました。

ドナルド・フェイゲン「モーフ・ザ・キャット」

ドナルド・フェイゲン「モーフ・ザ・キャット」は、辻がリファレンス用の音源としてよく使う曲のひとつ。

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